カステラと羊かん

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INVECS-Ⅱ 及び 人と車の関係性の考察

考察論文。

KAYAです。

 

整備ネタではないですが、相変わらず車ネタです。いかにも最新技術なテイストで書いていますが、20年以上前の技術であり今では何の変哲もないメカニカルな内容なので悪しからず…。

シャリオグランディスを含め90年代の三菱と言えば、悪名高き直噴エンジン「GDI」くらいに言われていますが、実はATにも現行車ではメジャーとなった三菱の技術が生かされています。

INVECS-Ⅱについて

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INVECS-Ⅱ(インベックス-2) = Intelligent & Innovative Vehicle Electronic Control System -2 とは、三菱が開発したAT制御システムのことです。

簡単な歴史としては、初代「INVECS」はATだけでなく、トラクションコントロールや4WD制御などの駆動系システム全般のことを指したそうで、1992年にギャランに搭載されています。

今回のテーマである「INVECS-Ⅱ」は、4ATシステムをドライバーに合わせて制御、1994年にFTOに初搭載され、現行型パジェロやデリカD:5(ディーゼル)にも搭載されています。

三代目のINVECS-ⅢはCVT(海外では6速セミAT)として2000年にランサーセディアに初搭載されました。

まぁWikipediaの引用ですけどね。

要するにINVECS-Ⅱとは、AI(自己学習機能)によりドライバーの運転スタイルを判断し、変速時期などの制御システムをドライバーの癖に合わせるという、当時画期的なシステムな訳です。

それと同時に、ATでありながらマニュアルのような変速ができる、いわゆるMTモードを日本車として初搭載しました。MTに乗る程ではないケド…でもドライブは楽しく走りたい!という、ドライブの新しいスタイルを実現しました。

シャリオグランディスのCMでおなじみ飯島直子の「父ちゃんカッコイイ!」や、キャッチコピーの「BIG DADDY グランディス」にある通り、頼れるカッコイイパパのイメージはこの技術から来ているのかもしれません。

さらに、インテリアの観点から見ると、AT・MTに関わらずシフトレバーの場所はフロアシフトかコラムシフトが主流でした。ところがシャリオグランディスでは日本車で初めてインパネシフトを採用したのです。90年代はミニバンやステーションワゴンなどのファミリーカーが普及し始め、それに伴いMTからATに乗り換える人が増えました。

フロアシフトのMTに慣れていると、ATとはいえコラムシフトには違和感のようなものを感じます。だからといってフロアシフトにしてしまうと車内空間の制約を受け、ファミリーカーなのに窮屈な車内になってしまいます。

操作性も空間も犠牲にしない、それがインパネにシフトレバーを配置するという答えだったのです。これも現行車でよくみられるスタイルですね。

さて、では実際シャリオグランディスを運転していてどうなのか?

インパネシフトの操作性

運転席に座ってシートベルトを締める。キーを回してエンジンスタート。ブレーキを踏みながらシフトレバーをDレンジにセレクトする。。。

なんの不満もありません。レバー位置も遠すぎず近すぎず。シフトレバーを探すこともなくブラインド操作可能です。

たまにインパネシフトでどうにも腕がふわふわしてしまうような車がありますが、そんなことはなくいたって自然です。

MT車でシフトノブに手を置いたまま走る方(安全的にもメカ的にもホントは良くない)がおられますが、同じように手を置いたままでも違和感はありません。

MTモードにするときもDレンジからシフトレバーを左側のマニュアルゲートに押し込み、変速は上下にガチャガチャするだけなのでこちらも問題なし。

デメリット…かどうかは分かりませんが、シフトノブがタコの頭のように丸くやや大きめなので私のデカい手にはフィットするのですが、もしかしたら手が小さい人には操作しずらく感じられるかもしれません。

4ATとしての操作性

ベースは通常の4ATなので、Dレンジで4速まで変速しますし、プリウスのシフトパターンのように複雑ではなくシンプルです。MTモードで走りや道路に合わせて好きなタイミングで変速も出来ます。当然電子制御なのでノッキングやエンストを起こすような速度域でのシフトアップやギヤの保持はしませんし、オーバーレブする速度でのシフトダウンもしません。

2.4L GDIエンジンとの組み合わせにより、高速道路でも100km/hを4速2000rpm程度で巡行でき、街中でも特にギヤ比がどうという不満はないです。

ではデメリットは?

通常のATでは、シフトレバーにオーバードライブOFFスイッチが付いており、エンジンブレーキが欲しいときにシフトレバーを移動させずともボタン1つで操作可能です。

また、パワーモードやスノーモードといった、車任せの変速制御ボタンも存在しません。エンジンブレーキが欲しいとき、もっとエンジンを回したいときなど、通常の変速タイミングとは異なる操作をしたいときは、毎回シフトレバーをMTモードにセレクトし、ドライバー自身が操作する必要があります。

 通常の4ATと比較すると、人が介入する動作が増えるので自動変速制御という観点ではもう一歩と感じます。

INVECS-Ⅱの自己学習機能

自己学習機能とは、前述した通りドライバーの癖に合わせて変速時期などの制御を車が変えてくれるシステムです。具体的には、ドライバーのアクセル開度や加・減速度などの情報を基に加速の仕方や速度調節のラフさを判断し、あらかじめコントロールユニットに書き込まれた数パターンの走行制御から、ドライバーの運転癖に最も最適なデータマップで制御する方式だと思われます。MTモードを使用せず、Dレンジでの走行でこの制御が行われます。

私は街中などの平地ではなるべくエンジンを回さずに低い回転で走りたい人間なのですが、シャリオグランディスもそれに答えるように、シフトアップ可能速度に達した瞬間にシフトアップを行い燃費走行に貢献してくれます。

ドライブなどで田舎道や峠道ばかりを走っている時はシフトタイミングを遅らせ、やや高回転での気持ち良い走りと、下り坂での適切なエンジンブレーキ制御を行います。

ではデメリットは?

エンジンを回してキビキビ走る、または、低回転で静かに走るなど、ドライバーの癖に合わせることは先ほどから述べていますが、問題は1度車が学習した変速制御パターンでは、全ての道路環境に対応できないことです。

例えば、バッテリーをつなぎ直して学習をリセットし、そこから山間部の峠道を30~40km/hで走ったとします。登坂により必然的にアクセル開度が大きくなる道路環境では車はまず変速タイミングを遅らせて2速(場合によっては1速)で引っ張ってシフトアップするような、登坂に適したシフトチェンジを行います。

次に峠道の降坂ではエンジンブレーキを使う為またも2速~3速を多用して走行します。

このまま市街地に入り40~50km/hで走行すると、INVECS-Ⅱは山間部でしか学習していないため、平地でも変速タイミングを遅らせた状態でシフトチェンジするので、低いエンジン回転数で走りたいのになかなか3速(または4速)にシフトアップしないといった現象が起きます。

平地であるにも関わらずエンジンブレーキが効きすぎてしまいぎくしゃくしてしまうのです。

逆もまた然り、平地巡行→山間部ではアクセルを踏み込んでもなかなかシフトダウンせず、シフトチェンジが遅れて登坂でのパワー不足の原因になります。

極端な例ですが、もちろんその都度INVECS-Ⅱは学習をするのでしばらく走れば変速制御を調整し、快適に走れるようになります。

文句言うならMTモード使うかMT車乗れよという突っ込みが来そうなので、それについては以下のテーマとします。

人と車の関係性

ここまで読んでくださった強者の為に、ちょっと趣向を変えた話をします。

ATとMT、どっちが好きですか?

車の性格やパワーにもよるでしょうが、多分車好き・運転好きであればMTを選ぶ人が多いのではないのでしょうか。

では、所有して毎日乗るとするのならば?

多分すでにMT車を所有しているorしたことがある人ならば、ここでATがいいという人も出てくるでしょう。もちろん純粋にMTが好きで毎日でも苦にならない人もいると思います。

ちょっと極端な例ですが、人と車を主従関係に置き換えます。

毎日でもMT車がいいと思った人は、車を意のままに操り、自分のコントロール下に置きたい、またはそれが楽しみという人ではないでしょうか。

つまり、車は主(人)に従う方がいいということです。

反対にAT車がいいと思った人は、単にシフト操作が面倒だったりのんびり乗りたいと思っているので車に任せてる方がよいと考えているかもしれません。

つまり、人は主(車)に従ってもよいとなる訳です。

2極化するとしたらだいたいこの2つに分かれるのではないかと思っています。

 私個人の意見としては、もちろんMT車も大好きですし、ATの技術進化のすごさも知っているつもりです。そもそも車はATであれMTであれ、ドライバーの思い通りではなくて、ドライバーが車の特性に合わせて走らせることで本来の性能が発揮できる(=人は主(車)に従うべき)と考えています。

車は機械である以上、与えられた操作に対して応答するだけなので、不思議な力が働かない限り、意図しない動きをしたり、本来持っている性能以上の力を発揮したりするはずはないからです。

よくATよりMTの方がドライバーの思い通りに操作できる…という意見がありますが、ATでもDレンジの他に2レンジやLレンジがあるわけで…。

さらにものすごく極端なこと言うと、ドライバーの思った通りに車が走れば、誰でもF1チャンピオンより速く走れます。だって速く走りたいと思えばいいんですから。

AT・MTどちらが良いとか悪いとかの話ではなくて、MTにしろATにしろ、その車の声を聴きいて、その声の通りに操作してあげなければいけないと思うのです。(その声を調整してあげるのがチューニングという認識。)

なぜ突然こんな話を?というと、従来のATにはなかった、「車がドライバーに合わせる」という機能と「MTモード」という機能がINVECS-Ⅱによって登場しました。MT派の人が求める操縦性と、AT派が求める快適性。これを両立しているのです。家族も運転するし絶対MT車でなければいけないという訳じゃないけど、ただのATではつまらない…。通常はATがいいけど快走路はMTがいい…。

このニーズに対する答えがMTモードであり、今ではスポーティーカーからファミリーカーまで、多くの車に採用される1つのドライビングツールとなりました。

さらには、INVECS-Ⅱでは学習機能により車が人に合わせてくれるという働きもします。人と車がお互いに歩み寄って快適でスムーズな走りを生み出すことができる、対等な関係性。人と車との調和で走る、いわゆる「人馬一体」の1つの解釈とも言えると私は考えているのです。

 

だいぶ長々と書き綴ってしまいましたが、私の頭の中の思想をクラウドに保存するためのようなブログなので、たまにはこんなのもあっていいのかなぁと思います。

寝る前に読んだらよく寝れるかもしれませんね。